概要
Lincheckは、JVM上で並行コードをテストするためのフレームワークです。テストの実行中、Lincheckはプログラムの潜在的なスレッドのインターリーブ(thread interleaving)を探索し、誤った動作につながるものを報告します。
Kotlinマルチプラットフォームプロジェクトでは、Lincheckを使用してJVM上でのみコードをテストできます。
Lincheckでの並行テストでは、各スレッドの操作と期待されるアサーションをリストアップするだけです。残りの処理はLincheckが担当します:
kotlin
class CounterTest {
@Test // テスト関数の宣言
fun test() = Lincheck.runConcurrentTest {
var counter = 0
// カウンタを並行してインクリメントします
val t1 = thread { counter++ }
val t2 = thread { counter++ }
// スレッドの終了を待機します
t1.join()
t2.join()
// 両方のインクリメントが適用されたことを確認します
assertEquals(2, counter)
}
}テストが失敗した場合、Lincheckはエラーにつながったスレッドのインターリーブとスレッドの切り替えポイントを提供します:
text
| ------------------------------------------------------------------------------- |
| Main Thread | Thread 1 | Thread 2 |
| ------------------------------------------------------------------------------- |
| thread(block = Lambda#2): Thread#1 | | |
| thread(block = Lambda#3): Thread#2 | | |
| switch (reason: waiting for Thread 1 to finish) | | |
| | | run() |
| | | counter ➜ 0 |
| | | switch |
| | run() | |
| | counter ➜ 0 | |
| | counter = 1 | |
| | | counter = 1 |
| Thread#1.join() | | |
| Thread#2.join() | | |
| counter.element ➜ 1 | | |
| assertEquals(2, 1): threw AssertionFailedError | | |
| ------------------------------------------------------------------------------- |Lincheckの仕組み
JVMが並行コードを実行するたびに、スレッド間での操作の実行順序が変わる可能性があります。 例えば、ある操作が別のスレッドの別の操作によって中断されることがあります。これ自体はエラーではありませんが、コードに並行性のバグがある場合、エラーにつながる可能性があります。

実行シナリオ(execution scenario)は、操作がスレッド間でどのように分散されるか、および各スレッド内での実行順序を定義します。
実行スケジュール(execution schedule、またはスレッドのインターリーブ:thread interleaving)は、すべてのスレッドにわたるすべての操作の実行順序を定義します。
Lincheckは、誤った動作につながる実行スケジュールを見つけるために、2つのテスト戦略を実装しています:
- モデル検査(Model checking)。Lincheckは、プログラムに明示的なスレッド切り替え命令を挿入することで、スケジューリングを制御します。これらの命令は、同期ポイントや共有メモリへのアクセス箇所に配置されます。モデル検査により、Lincheckはエラーに至る正確な実行トレースを生成できます。
- ストレス・テスト(Stress testing)。オペレーティングシステムがスケジューリングを制御します。Lincheckは、エラーを見つける可能性を高めるために、各シナリオを複数回実行します。
Lincheckを探索する
- Lincheckを使い始める で、Lincheckの機能をステップバイステップで学習しましょう。
- 並行データ構造をテストするための宣言的な手法については、テスト戦略 の記事で詳しく説明しています。
